しみ治療基礎知識

このコーナーは、若干、科学的・実証的な見方からは外れるものの、多くの患者さんを治療している一人の医師としての感想・印象を中心に書かせていただきました。気楽に読んで下さい。こんなことを考えている医者が治療しているんだなと思ってもらえると、コミュニケーションも図られやすいかと思います。
20代の方へ・・・こんな人は、しみができやすいようです
しみ、とくに、老人性のしみは、「色白で、日焼けをしてもすぐに黒くならないタイプのひとにできやすい」といわれています。私なりの観察から、「しみ体質」についてもう少し付け加えると、以下のようになります。老人性しみが多発していらっしゃるおばあちゃまの肌を観察すると、たいていの方は、とてもきめの細かい滑らかなお肌をしていらっしゃるのです。お話を聞くと、皆さん、「昔はきれいな肌が自慢だった」とか、「化粧をする必要を感じないほど肌がきれいだった」「にきびはあまりできなかった」とおっしゃいます。逆に、いかにも昔、にきびだらけであっただろうな、と思わせるようなお肌の方は、細かい色素沈着はあるものの、老人性しみのように、大きくて濃いしみはあまりなく、あっても多発はしないようです。肝斑の患者さんも、わりと滑らかな肌の型に多いので、しみのできやすい体質としては、共通点があるのかもしれません.というわけで、将来老人性しみになりやすい予兆と思われるものを書き並べてみました。
体質的なもの・・・色白、日焼けしにくい、もち肌、きめが細かい、にきびが少なめ、脂性というよりは乾燥ぎみ。どちらかというと、きれいな肌。
人為的なもの・・・日焼け止めを十分せずにアウトドアスポーツをする、ファンデーションをつけなくても平気、など。一言で言うと、あまり肌の手入れに関心がない。
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予防について
しみの素因を持っている若い方が、そのことを自覚することが予防の第一だと思います。(かく言う私も、20代の頃には、白くてきめの細かい肌を誇っており、慢心からか、手入れも日焼け止めもろくにせずに、テニスだスキーだのと騒ぎまわっておりました。もちろん、将来出てくるしみに対しては、まったく無防備でした。(今はそのしっぺ返しを存分に受けています。)
じゃあ、「しみ素質を持っていても、日焼けと乾燥に対するケアを十分していればしみにならないの?」という質問に対して・・・残念ながら、いまのところ、それに対する完璧な答えを出すのは難しいと思います。いまの20代の方は、お肌のケアに関する関心が非常に高いようですので、将来は、しみの患者さんも今よりぐっと少なくなるかもしれませんね。
もうひとつ、しみ症に進行するまでの過程で見過ごしてはならないのが、妊娠・出産・子育ての大きな山です。妊娠・出産のホルモン変動によるしみの出現は、予防のしようがありませんので、しみができたら、できるだけ早いうちに相談に来ていただくしかないと思います。(そういうわけで、しみ外来には、小さいお子さんの声があふれています。)また、子育て中は、どうしても子供に付き合って炎天下の公園に行かねばならない、忙しくて肌になどかまっていられないなど、しみ素因を持つ方にとっては最大の危機を迎えることとなります。
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しみができてしまった方へ
まずは、しみが消える、という実感を味わってください。ほんの一部分でもけっこうです。トレチノインにせよ、レーザーにせよ、しみを薄くすること、なくすることは、現在の医療技術では、難しいことではありません。あなたのしみに、解決法があるということを体験していただくことが第一歩です。
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しみ治療後の再発について
しかし、今治療中のしみがなくなってしまったら、今後いっさいのしみから開放されるというわけではありません。
1. たった今治療が終わったばかりのしみが再び出てくること
2. 他の個所に新たなしみができること
いずれも、起こる可能性は否定できません。ここでは、しみの再発について少し考えてみましょう。
レーザーであれ、トレチノイン+ヒドロキノン法であれ、治療で消失するのは、メラニン色素を含む表皮細胞であって、メラニンを作る細胞(メラノサイト)ではありません。メラノサイトは生きています。もし、メラノサイトが治療によって殺されたらどうなるでしょうか。その答えは、「白斑症」です。いくら肌の色が白いほうが良いといっても、「肌色」が「真っ白」になっては困ります。実は、1940年代に使用された美白剤は、メラノサイトを殺す作用があり、これを使用した人は、非可逆的な白斑症という副作用に苦しめられるようになったために、現在は使われていません。自然な肌色を保つためには、メラノサイトを殺さないことが必要なのです。しかし、しみ部位のメラノサイトは、活発になりやすい性質を持っているので、メラノサイトが残っている限り、紫外線などの刺激で再びしみが作られる可能性はおおいにあるのです。
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しみ治療は、無理なく、ストレスなく、断続的に
というわけで、しみ治療は一生に一回で終わりというわけではありません。いつもお肌にしみがない状態にしておきたいという方は、時々治療が必要になります
再治療のタイミングは、、それぞれの方の必要に応じて、いつでもかまわないと思います。現に私の外来で、長期に治療していらっしゃる患者さんは
1. 治療終了後は、日焼け止めのみを使用し、1、2年後にふたたびしみが濃くなってきたので、しみ治療を再開する。
2. 治療終了後はビタミンCローションと日焼け止めだけ使用を続け、色素沈着が濃くなる時期(主に秋と春)に、薄くトレチノインを使う。
など、それぞれ自分のスケジュールにあったやり方で、トレチノインとつかず離れずの関係を保ちつづけています。ちなみに、私自身は後者の付き合い方をしています。
トレチノイン治療の経験を重ねるごとに、炎症が出るまでの日数や、炎症のコントロールの仕方など、だんだんと按配がわかってきますので、治療はやりやすくなってきます。たとえば、3連休を数日後に控えている場合は、その3日前から使用をはじめ、赤みと皮むけのピークを連休中に済ませてしまう・・・なんてテクニックを習得できたら、毎年のしみ取りも楽しくなりそうですね。
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